コラム

2012/05/02

スクラップ&キープ(群馬・AN)

スクラップ&キープ

▼公共施設の使用年数をできる限り延ばす、いわゆる長寿命化を図るため、各自治体では計画的な維持管理・補修を狙いとした長寿命化計画を相次いで策定。群馬県では橋梁をはじめ、舗装やトンネル、道路構造物、農業用施設などを対象とした計画の策定が順次進んでいる。

▼事後保全型から予防保全型への対応を図る長寿命化計画の導入は、事業費の平準化やLCC(ライフサイクルコスト)の低減といった有益な効果をもたらす。その逆を言えば、新設・新築による事業進捗が難しい今だからこそ、そういった対応をせざるを得ないといった見方もできる。

▼各地で本年度の当初予算が出揃ったが、混迷する社会情勢やひっ迫する財政状況を踏まえ、各自治体とも厳しい予算編成を強いられている。そんな中で昨今、必ずと言っていいほど使われる言葉に『スクラップ・アンド・ビルド』がある。

▼意味を調べると「老朽化・陳腐化によって物理的、または機能的に古くなった設備を廃棄し、高能率の新鋭設備に置き換えること」とある。それと同時に「行政機構における膨張抑制の方法の1つ」といった意味もあり、まさに今の時代にマッチした便利な言葉だ。

▼「スクラップ・アンド・ビルドによる大胆な予算編成が必要」とはよく聞くフレーズ。本来は、需要に対する前向きな『ビルド』があるからこそ『スクラップ』が必要なわけだが、今はそのビルドに代わり『キープ』が台頭している。財政的な問題とともに、公共投資に対する風向きが変わった。もはや、時の風は『スクラップ・アンド・キープ』といった戦略的な維持管理を求めていると言える。(群馬・AN)

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