コラム

2012/05/17

新聞の創刊と廃刊(東京・JI)

新聞の創刊と廃刊

▼横浜・桜木町駅近くにあるUR都市機構の本社ビル敷地内に「日刊新聞発祥の地」と刻まれた記念碑が建っている。現代版新聞の原型というべき活字1枚刷りの『横浜毎日新聞』が、明治3年12月8日にこの付近で創刊されたのだという。記念碑は編集担当者1人、印刷担当者1人、資金協力者5人の功績を称えて建立された。

▼碑には創刊号がプレートで貼られている。字がかすれている部分が多い上に昔の文章のため判読しにくいのだが、少しずつ文章を追うと「外国船の入港・出港情報」「家具の競り売りのお知らせ」「社長からのあいさつ」などが読み取れた。

▼UR住宅の居住者向け新聞(フリーペーパー)である『ザ・ニューキー』(発行・?団地通信)が今年3月で廃刊した。週刊で各戸のポストに配布されていた同紙は1981年に創刊。1118回の発行を重ねたものの、ついに約30年の歴史に幕を閉じた。経済情勢や時代の流れの中で「経営の先行きを深く考慮した結果」だという。

▼最終号では、2人体制だった社員が連名で「残念」「申し訳ない」そして「ありがとう」とあいさつ。また関東各地区の自治協会長から「(URの事業を知るための)貴重な情報源だった」「記者魂を感じていた」「住民の絆づくりに貢献していた」と、廃刊を惜しむ声が寄せられていた。

▼インターネット全盛の現代において、パソコンはもちろんスマートフォンの画面でニュースを見る人も多い。新聞というビジネスモデルは「古い」という声もよく聞く。それが本当か否かはわからないが、一つの新聞が確かに消えた。この事実は重く受け止めたい。(東京・JI)

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