コラム

2012/05/29

求められる優秀なボランチ(茨城・MK)

求められる優秀なボランチ

▼サッカーのポジションに「ボランチ」というのがある。ボランチはポルトガル語で「ハンドル」「舵」という意味。守備を行うバックスの前に位置し、ボールを受けたりボールを配給するのが主な役割だが、最も重要な役目は、試合展開を読んでゲームをコントロールし、味方に有利になるようにプレーすることだ。

▼日本を代表するボランチとして有名なのが、Jリーグ・ガンバ大阪の遠藤保仁選手。この選手、華やかなプレーは少ない。身体能力がずば抜けているわけでもない。優れているのは「試合展開を読める」ことだという。

▼優秀なボランチの条件に、見方から受けたパスを失わず適切な次のパスを出せる点がある。遠藤選手が出すパスは「相手が後ろから来ているぞ」「あわてずにキープしよう」「今がチャンスだから行け」などというメッセージをパスを受けた選手が感じるという。パスが来なかった場合でも「パスが来たら逆にピンチになっていた」と思うことがあるという話を聞いたことがある。

▼さらに、無駄と思えるような緩いパスを出すこともある。しかしそれは、相手の視線をボールに集め、その間に味方がマークを外して動き、次の展開を有利にするため。遠藤選手はそういうことも考えてパスを出しているようだ。

▼実際の試合ではゴールを決めた選手など華やかなプレーに注目が集まりがち。一方で目立たないが、しっかりとしたビジョンを持って、チームや試合をコントロールし、勝利に導く選手が存在する。ボランチという役割は、政治でも経済でも、あらゆる組織に求められていないだろうか。(茨城・MK)

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