コラム

2012/06/07

70点を目指す教育(埼玉・HK)

70点を目指す教育

▼休日の昼下がりに、汚れた愛車を洗うため、最寄りのガソリンスタンドの洗車機へ車を走らせた。便利なもので、3分もすると完了し、仕上げの乾拭きをするため敷地内の駐車場に移動した。

▼乾拭きを始めると、隣で小学校中学年ほどの児童とその父親が洗車をしている。すると父親の大きな声が聞こえてきた。「また汚れるんだから、完璧にやらなくてもいいんだぞ。70点でいい。なんでもかんでも100点満点にするのは大変だろう。だが、全て70点をとることはできる。洗車で70点、勉強で70点。だから、勉強でも70点をとるんだぞ、ハハハハ」

▼世の中には、全てで100点を目指す教育がある。その結果、点数で結果が見える勉強については優秀でも、見えにくい人間関係や人格形成が疎かになってしまうことも多いのではないか。また、テレビでも目にするが一芸に秀でていても、そのほかはからきしダメという人がいる。ひとつの分野で100点を目指す教育を受けてきたのだろうか。得意な分野が評価されない場合、全てが20点の人と同じ扱いを受けかねない。

▼洗車をしている父親はそこまで考えていなかっただろうし、多分、息子も真剣に聞いていなかっただろうと思われる。だが、普段のコミュニケーションにこんな会話がある家庭を作りたいと思った。

▼子供が自我を持ち、自分の将来の夢を見つけた時、それに向かって邁進できるように育てることが親の使命ではなかろうか。それが全てを70点にする教育なのだろうと考えた。偶然、何気ない親子の会話にあれこれ考えを巡らせつつ、きれいになった愛車に乗り込んだ。(埼玉・HK)

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