コラム

2012/06/12

「監督」の奥深さ(東京・UT)

「監督」の奥深さ

▼古くは「ボールが止まって見えた」から、人生訓にも似た「振らなければ、当たらんぞ」「迷ったらストレート」「代打、俺」など、プロ野球界に伝わる名言は数多くある。その中で個人的に特に好きなフレーズが、2005年に当時、阪神の監督だった岡田彰布氏(現・オリックス監督)が発した「ムチャクチャしたれ」だ。その後、「責任は俺が取る」と続く。

▼舞台は05年9月7日、天王山の中日戦。9回裏に同点に追いつかれ、なお満塁という崖っぷちの局面で、マウンドへ足を運んだ岡田監督が、ピッチャーの久保田に言ったとされている。久保田は後続打者を連続三振に仕留め、阪神は勝利した。

▼ピッチャーの心象風景は想像するしかないが、開き直ったということだろう。悪い流れを断ち切ったのはあくまでもバッテリーの力量だが、「監督」の重要性をあらためて感じさせるシーンだった。

▼国交省関東整備局で11年度、8件の粗雑工事が発覚した。大半のケースは施工者に補修を命じた上で、指名停止措置を講じている。粗雑工事の第一義的な責任は当然、施工者にある。ただデリケートであまり議論が表に出ない部分だが、発注者による監督・検査との因果関係についても、考える必要があるのではないか。

▼国交省は13年度から一部の技術で、3次元データを建設機械に搭載して施工に用いる「情報化施工」を一般化する。徐々に地方自治体に波及する可能性も高い。建設施工革命というフレーズが用いられているが、施工方法を最先端に変えるのであれば、監督・検査のあり方も対応させることが慣用。「監督」には色々あるが、どれも奥深い。(東京・UT)

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