コラム

2012/06/16

重大事故の裏のヒヤリ(新潟・YY)

重大事故の裏のヒヤリ

▼「1件の重大な事故・災害の背後には、29件の軽微な事故・災害があり、その背景には300件の異常がある」。アメリカの損保会社社員だったハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが労働災害を調べ、統計学から導き出した「ハインリッヒの法則」だ。300件の異常は重大事故には至らなかったものの、あわや事故につながってもおかしくないヒヤリ・ハットがあったとも言える。

▼労働災害における1対29対300の法則に示された割合には合わないかもしれないが、身近な生活の中でも不運が重なれば重大事故につながるようなヒヤリやハッとした瞬間はよくあるものだ。

▼例えば夜間における車の運転中など。歩道のない道路を走行中、暗い服装をした歩行者に直前まで気づかず、ヒヤリ、ハッとした経験がないだろうか。運転する側からしてみれば、夜間はできるだけ明るい服装をしてもらいたいという気持ちもある。これは、車のライトを上向き(ハイビーム)にして走行することで、もっと手前での視認が可能となる。

▼警察も夜間における車の走行では、「ライトは上向きが基本」と指導している。夜間は人通りが少ない道路であり、ある程度対向車がある道では、ライトの切り替えがおざなりになりがちだ。

▼5月に新潟県南魚沼市内で発生し、4人の尊い命を奪った八箇峠道路のトンネル内爆発事故。その発生原因や、災害防止対策についての調査・検討が始まった。重大事故の裏にあったはずの300件の異常の問題点と対応策を協議することで、あのような悲惨な事故が2度と起こることのないようにしてもらいたいものである。(新潟・YY)

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