コラム

2012/06/19

盗まれ続けるにも程がある(茨城・KS)

盗まれ続けるにも程がある

▼?捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで―?。1966年にアメリカのテレビドラマで放映開始され、昨今はハリウッド映画としてリメイクされて人気の『スパイ大作戦』シリーズ。劇中で謎の?当局?から主人公へ指令が伝達されるときのお馴染みのフレーズである。

▼在日中国大使館の書記官が、日本で不正に外国人登録をして身分を偽り、企業から報酬を受領したり、農林水産省の機密文書を入手したりしていた疑惑が取りざたされた。当の外交官はすでに帰国し、警視庁の出頭命令も華麗にスルー。見事に雲隠れしてしまった。

▼産業スパイも後を絶たない。近くでは、大手鉄鋼メーカーの新日本製鉄が、「方向性電磁鋼板」の製造技術が盗用されたとして、韓国のポスコを提訴している。新日鉄はポスコの前身となる会社の立ち上げにも関わり、共同研究も行っていたという。まさに?恩を仇で返す?である。

▼標的は政治や経済だけではない。先日の総選挙で日本中をくぎ付けにした「AKB48」だが、中国では「AK98」なるグループが誕生している。その運営スタッフは日本のAKBについて、「知らない」と言ったというから開いた口がふさがらない。

▼日本の技術や文化は盗みたくなるほどの垂涎の的なのだろう。しかし今も昔も窃盗は犯罪だ。もう少し我々1人1人が自国、そしてそこから生まれる意匠に自覚と誇りを持たなければならないのかもしれない。他者を疑わない寛容な?和?の心はもちろん大切だが、いつまでも、「盗まれても、我々は一切関知しない」ではいけない。自明の理である。(茨城・KS)

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