コラム

2012/06/29

保険未加入と生活保護(茨城・HN)

保険未加入と生活保護

▼慣用句「働かざる者食うべからず」は、食べるためには真面目に働かなければならないという意味。これは、新約聖書の一節にある「働きたくない者は、食べてはならない」が元になった。聖書の教えとあって、至極もっともだと思うが、一刀両断、問答無用といった感があり、少し厳しい気もする。

▼昨今、芸能人の母親が生活保護を受けていた問題が波紋を広げた。生活保護の不正受給の問題は以前からささやかれていた。しかし、今回は有名人が関係していることもあって、関連の話題も含め取り上げられることが多い。そして、これをきっかけに生活保護の支給要件を厳しくすべきとする意見が噴出。その一方、過度な対応は受給が必要な人へも受けづらくする、といった慎重論もある。

▼7月1日から一部改正される経営事項審査(経審)。その中身は、保険未加入者への対策が主流である。その他の審査項目(社会性等)に示される健康保険及び厚生年金保険加入の有無が、今回の改正で「健康保険加入の有無」と「厚生年金保険加入の有無」の2つに区分される。

▼そうすることで雇用保険、健康保険、厚生年金保険の未加入者へ、厳しい減点ルールが適用される。減点幅は従来の60点から、倍の120点となる。確かに支払っている企業があるのだから、未払いの企業へ支払いを求めるといった不公平感の解消は大切なことかもしれない。

▼だが、入りたくても入れない状況に陥っている企業が多いことに、この問題の本質があるのではないか。その根本的な問題を取り除かない限り、脈々と続く生活保護の不正受給のように、問題はいつまでも解決しない。(茨城・HN)

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