コラム

2012/07/06

雨の香りも悪くない(茨城・NI)

雨の香りも悪くない

▼梅雨明けが近くなると「まだか、まだか」と待ちきれない思いで気をもむ。自然はとても気難しい。気象庁の梅雨明け宣言後も期待を裏切ってしつこく長引き、がっかりさせられることも少なくない。梅雨は後半に入ると前線の活動が活発になり、雷をともなう集中豪雨が発生しやすくなる―と昔近所の物知り爺さんに聞いた事を思い出した。

▼現在の天気予報ほど科学的でない時代、昔の人は激しく雷が鳴るのを聞いて「梅雨明け近し」と判断したようだ。雷が鳴ったから、即梅雨明けというわけではないが、先人の知恵というものは馬鹿にできず、結構当たる。前線が北上するときに雷が鳴りやすいことから、「雷が北で鳴ると梅雨が明ける」と言われる地方もあるそうだ。

▼たまに雨の香りを嗅ぐとなんだか良いなと思うときがある。住む所によって雨の香りもさまざま。都会であればアスファルトの溶けたような香り、自然の多い場所では草木の香りがする。

▼香りの原因は、ぺトリコールといわれる植物が土壌に発する化学物質で、雨の降り出す前、湿度80%以上になった時に空中に放たれるもの。昔は虹のにおいと考えられていたこともあったようだ。現代の都会はアスファルトで大地が覆われ、樹木が少ないため、こんなロマンチックな雨のにおいを嗅ぐチャンスはなかなか無い。

▼筆者は最近、アスファルト色の香りになれてしまったが、たまには自然の中で雨のにおいをかいでみるのも、良い気分転換になるのではと近ごろ思う。世相は、政治不安、不景気、原発問題など、どう見ても梅雨期まっただ中。これらの梅雨明けはいつになるやら。(茨城・NI)

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