コラム

2012/07/07

「綱引き」の成り行き(新潟・HT)

「綱引き」の成り行き

▼ある公共施設の建設計画が具体化に向けて動きだし、検討委員会等での協議を経て、施設の規模や概略が決まった。次に行われたのは何か?答えは『綱引き』。つまり、建設候補地の誘致合戦だ。重要施設の建設であれば、地域の将来を左右するため、各首長や代表者が「オラがまちに」と必死に綱を引く。

▼先日、4年後の開業を目指す北陸新幹線で、建設中のホームを訪れる機会があった。ここにも、将来を左右する綱が引かれており、わずか4?の差が波紋を呼んだ。わずか4?は、ホームの幅である。正確には、軌道中心線から乗降口までの距離。

▼工事実施計画(その2)で、新潟県の上越(仮称)駅については1・8m、富山駅や金沢駅では1・76mで整備される計画であったためである。『旧新幹線鉄道構造規則等』によれば、通過列車を運転する線路に沿う乗降場は1・76m。つまり1・76mでは、素通りできない新幹線も1・8mあれば、素通りできるのである。実際には、JRが決めるダイヤに沿って、幅が決まるのであろうが、全列車が止まる駅と各駅停車しか止まらない駅では、その後の恩恵に差が出るのは明白だ。

▼北陸新幹線を特集したある雑誌では、富山、石川、福井の各県知事が自ら登場し、大々的に観光や食文化、産業などPRした。これまで、高速鉄道網の恩恵から取り残されていた地域が、強力に綱を引く姿がそこにはあった。

▼鉄道、ハコモノに限った話しではない。予算や権限など、常に、どこかで綱引きは行われており、『勝てば発展 負ければ衰退』。つまるところは戦であり、誰もが、綱の端を持っている。(新潟・HT)

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