コラム

2012/07/14

総論賛成、各論は(東京・UT)

総論賛成、各論は

▼関東地方整備局の17階契約課閲覧窓口に、入札結果などと並んで「苦情処理」と題したファイルが置いてある。2012年度分を開いてみると、本稿執筆時点で、ゼネコン3社から質問が寄せられている。すべて、4月に公告された段階選抜適用工事についてだった。

▼質問内容は「弊社が非指名となった事由についてお教えください」「1次審査の評価点について、当社は24点と認識して申請資料を提出したつもりですが、間違いはないでしょうか」「弊社の評価点、ならびに指名を受けるためには評価点が何点以上必要であったかにつきご教示いただけないでしょうか」といったものだ。

▼段階選抜は、今後の関東地整の入札契約方式におけるキーワードの一つ。業界からの導入要望が非常に強い。1次審査の通過者のみが、2次審査で技術提案を作成することになる。受注者の技術提案を作成するコスト、労力を軽減する効果が期待されている。ポイントは、一般競争ではなく公募型指名競争だという点にある。1次審査における参加者の絞り込みは、従来の指名にあたるという解釈だ。

▼業界が「総論」として望んだ段階選抜。一般競争から指名競争への回帰と言えなくもないが、国交省は今後、適用を拡大する方向でいる。事務手続きの負担を軽減できるのだから、発注者としても望むところだろう。

▼個別工事の「各論」に入ると、1次審査でふるい落とされた企業からの不満、質問が寄せられ、「苦情処理」のファイルが厚くなる。企業がブラックボックスと感じないための措置、具体的には企業名と評価点の内訳公表などを求める声が強まりそうだ。(東京・UT)

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