コラム

2012/08/01

道の駅戦国時代へ(群馬・MY)

道の駅戦国時代へ

▼昨今、地域振興に悩む市町村役場担当者の頭を一度はよぎるアイデアは「道の駅」かも知れない。休憩用の大きな駐車場、清潔なトイレなどに加えて、物産販売施設やレストランなども併設した道の駅は、群馬県内に25カ所。連日テレビや雑誌などで取り上げられ、平日にも関わらず駐車場に空きがない駅も珍しくない。

▼県北部の中山間地域では、新設工事中が1駅、これから着工の計画が2駅ある。大澤正明知事が進める「はばたけ群馬・県土整備プラン」により交通網は飛躍的に便利になりつつあり、道の駅整備ブームはさらに加熱しそうだ。

▼新規で着手する自治体は、県内外の成功例を視察し研究を重ねる。一方、見落としがちなのは苦戦している駅の事例把握。「幹線道路から遠い」「地域の意欲が低い」「市町村の協力が乏しい」「集客工夫が見えない」といった問題点が見え隠れする。

▼もっとも成功している道の駅は、昨年野田総理も視察した川場村の「田園プラザ」。ブランド米「雪ほたか」や地ビール、手作りハムなどが並び、果物の種類も多彩。全村を挙げて今もコツコツとハード・ソフト両面の整備を続けており、来訪した人を楽しませる施策は駅の外にまでおよぶ。東京都世田谷区との四半世紀にわたる交流も都会から人を呼び込む一助となっており、視察した他の市町村職員は「とてもまねをできるものじゃない」と感嘆していた。

▼今後、おそらく群馬道の駅戦国時代を迎える。観光客は、パンフレットを手にどちらへ寄ろうか品定めする。右へならえで続いた道の駅整備。地域の魅力をどこまで掘り下げられるか、市町村の競争だ。(群馬・MY)

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