コラム

2012/08/10

安さの裏にあるリスク(茨城・HS)

安さの裏にあるリスク

▼ロンドン夏季五輪が熱い。開幕前は、あまりテレビや雑誌で騒がれていない感じがしたものの、男子サッカーが強敵スペインを下したことで、が然盛り上がってきた。この勢いが他の競技にも伝わり、メダルラッシュだ。

▼五輪で注目されるのは競技そのものだけではない。開会式や閉会式は言わずもがな、関係する人達の人間ドラマや開催地の歴史・文化も話題になるものだ。今回も競技外のところで一悶着が発生している。

▼発端は、「ナイキのロゴが入ったバッグにアディダスのファスナーがついている」という選手のツイッター。エジプトの選手団に偽ブランドのスポーツ用品が支給されていたことが判明したのだ。経済的な理由で正規品が買えないというのがその理由らしく、初めから偽物だということを知りつつ購入したそうだ。バッグの良し悪しは競技に関係ない。しかし、国の代表がまがい物を使っていると知ったエジプト国民はどんな気持ちだったろうか。

▼その後、ナイキが正規品を無償で提供することでこの件は落ち着いた。最後に笑ったのは、正規品が安く手に入ったエジプトの五輪委員会とナイキの2者。ナイキは五輪の公式スポンサーではないので、良い宣伝になったはず。

▼「誰も損をしてないなら美談じゃないか」という意見もあるだろう。要はモラルの問題だ。五輪という世界中が注目する場で偽物を使うリスク。その国の印象が悪くなるのはもちろん、偽物の何が悪いと開き直れば、そういう国なのだと見なされる。安さの裏にあるリスクを見落とせば、結局、一番大切なものを失ってしまうことにつながりかねない。(茨城・HS)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら