コラム

2012/08/22

熊と建設業の立場(群馬・AN)

熊と建設業の立場

▼熊の目撃件数が急増している。環境省の調査によれば、東北6県における今春の熊の目撃件数が628件と前年の3倍以上に上っているという。ここ群馬でも出没情報が多数寄せられているほか、人身被害も昨年度は1件だが、本年度はすでに3件発生している。

▼理由の1つに熊生息地周囲における餌の減少がある。そのため、人家周辺にまで行動範囲を広げ農作物などを荒らしているのだという。また、近年は山林に人の手が入らなくなり、耕作放棄地などが増えていることなども理由に挙げられる。なお、本県には平野部を除く山地に約1000頭ものツキノワグマが生息している。

▼餌不足の背景には、冬の大雪が大きく影響しているとみられ、報道によれば、調査を実施した環境省は「ここ最近では例のない数。餌の凶作が続けば、夏から秋にかけてさらに増える可能性がある―と指摘する。

▼ところで東日本建設業保証などがまとめた本年度第1回目の建設業景況調査結果によると、景況判断指数のBSI値からみた地方建設業の景気はマイナス19・5となっている。前期比で1・5ポイントほどマイナス幅が縮小したものの、依然として『悪い』傾向が続いている。来期については『悪い』傾向がやや強まる見通しだ。

▼熊と建設業の現況はまさに同じ。公共投資について言えば削減続きで、ここ数年間だけでも3割減少した。公共投資とは『将来への投資』と言い換えられる重要な施策。餌がない熊は、餓死を避けるため農作物を荒らす。では、建設業が現状から抜け出すにはどうしたら良いのか。その答えを見つけるのは容易ではない。(群馬・AN)

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