コラム

2012/08/23

モノ言わぬからこそ(埼玉・AO)

モノ言わぬからこそ

▼歩行者用の信号を見ていたとき、普段は青と青の点滅と赤しか灯らない信号機の立場になってみた。「たまには黄色もやってみたいな」。物言わぬ信号機ではあるが、通行する老若男女、自転車、普通車から大型トラックなどを24時間365日見つめている。「危ないよ」「しっかり手を挙げて渡れたね」など思うことは多いだろうが、いつも見上げる自動車用の信号機を羨ましいと思っているかもしれない。

▼普段の会話の中で、相手が何を考えているのか分かる言葉がある。それは、本当に何気ない一言だったり、つぶやきだったり。その人となりが発露する場面がある。「こういう考えをする人なんだ」「こんなこと考えていたんだ」などなど、会話の中で思うことは多い。

▼「己の欲せざること、他人に施すことなかれ」。自分がやって欲しくないことは、他の人だってやられたくはない。だから、他人にやってはならない。まさに、処世のための大切な言葉の一つだと思う。

▼相手の立場に立って物事を考えることは、想像力が無ければ難しい。前述の信号機のつぶやきにしても、物を言わない機械が考えることがあるものか…と一蹴してしまえばそれまでなのだが。物言わぬ機械だからこそ、その心が、気持ちがどう動いているのか、動くのか考えて見ることは、思考実験の意味からも面白い取り組みだろう。

▼昨今、学校等でいじめ問題がクローズアップされている。いじめる側には、いじめているという意識が希薄なのではないだろうか。相手の立場ならどうなのか、これを考えれば、もう少しましな世の中になるのではないだろうか。(埼玉・AO)

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