コラム

2012/08/29

夏の一番の思い出(群馬・SN)

夏の一番の思い出

▼8月も残り少なくなった。子どものころの夏休みの思い出で真っ先に思い浮かぶのは「腕を前から上に上げて〜」でお馴染みのフレーズ、ラジオ体操だ。毎朝、起き抜けでランニングシャツのまま家を飛び出して近所にある定家神社の境内へと向かい、ラジカセから流れるNHKラジオのピアノ伴奏に合わせて体を動かしたものだ。帰りに出席カードに判を押してもらうのが楽しみだった。

▼あの誰もが知っているラジオ体操が今、再ブームだそうだ。昨年発売された解説書は予想を超える人気ぶりで版を重ねているという。その歴史を調べてみると、1928年に始まった国民保健体操にさかのぼる。折しも近代的な保健衛生の考え方が広まりつつある時代で、全国中等学校野球大会やオリンピック参加などでスポーツへの人気が高まっていった時代でもある。

▼敗戦で飢えに苦しみ、食べることに精一杯だった時代を経て、ようやく人々は自分の健康管理に気を使うまで余裕を持つことができるようになったということか。そしてラジオ体操を通じた健康な身体づくりへ関心が集まっていった。

▼体操スタイルが現在の形になったのは51年からで、それから60年余りが経過。阪神大震災では発生から2日後、東日本大震災でも3日後からラジオ体操が放送され、被災者たちの体調管理に一役買ったそうだ。

▼書店には、さまざまな健康に関する書物が置かれているが、ラジオ体操なら、いつでもどこでもすぐに始められる。あの頃から40年近く経っても、伴奏音に条件反射して体が自然に動き出す。ラジオ体操・解説書には「計算し尽くされた究極の運動」と記されている。(群馬・SN)

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