コラム

2012/09/26

高齢化クルマ社会(群馬・MY)

高齢化クルマ社会

▼ことしで81歳になった祖父が自動車の運転免許証を自主返納した。ここ数年、運転に自信をなくしていたらしい。家族と相談し、「交通事故を起こす前に」と決心したようだ。幼いころ、祖父がクルマから降りると、よく出迎えたものだが、この機会が無くなると思うと少しさびしさをおぼえる。

▼自主返納者には免許証に代わる身分証明書として「運転経歴証明書」が交付される。群馬県内では高齢者の自主返納を支援する事業が各地であり、草津町では飲食店組合加盟店で料金割引などが受けられる。加齢に伴う身体機能や認知機能の低下などによる交通事故を減少させるねらいだ。

▼某市議会を傍聴した際、市議が買い物弱者向けの公共バスの整備を訴えていた。市町村合併により農村部を吸収した同市にとって、旧市部との一体化が課題であり、市内の交流を活発化させたい方針。ただ財政状況は厳しく、市当局の答弁は歯切れの悪いものだった。

▼農村部を運転していると高齢者マークをつけた軽トラックに出会うことがしばしば。のろのろ運転だったり、ウインカーを出し忘れていたりと冷や冷やする。しかし、クルマ社会の地方では、クルマがなければ生活できない。2007年に高齢化社会に突入した日本。買い物を代行するサービスなども増えつつあるが、まだまだ地方の実情は厳しい。

▼農業を趣味とする祖父は、トラクターなどの農機も運転できなくなった。籠もりきりにならないように家族が気配りしなければと考えている。そういえば白髪頭がボサボサしてきた。まずは祖父の行きつけである隣町の床屋に連れて行こうと思っている。(群馬・MY)

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