コラム

2012/09/27

言葉が夢を手繰り寄せる(東京・HM)

言葉が夢を手繰り寄せる

▼ボクサー西岡利晃選手が来月、夢のリングに立つ。会場はボクシングの本場アメリカ・カリフォルニア。相手は世界的スター、WBO・IBF統一世界王座ノニト・ドネア。西岡選手は、現在WBCの名誉王座で、この試合に勝てば統一王座獲得のうえ、世界で5人目のWBCダイヤモンド王座に認定される。サッカーで言えばワールドカップ決勝ぐらい大きな試合だ。

▼西岡選手は、自分の目標を常に口に出し続けた。まだホープと言われていた頃、「具志堅選手の防衛記録を抜く」と豪語していた。ビックマウスとも言われたが、こじんまりしたコメントよりファンを楽しませた。

▼しかし、その後のボクサー人生は挫折の連続。世界挑戦4度の失敗。コメントは、「チャンピオンにならなければ絶対に駄目」という悲壮なものに変わっていた。階級を上げて再起したが、アキレス腱断裂というけがにも見舞われた。世界戦の目途は立たず、黙々と練習を重ねる日々だったが、目標は見失わなかった。

▼チャンスは突然訪れた。正規王座のけがによる暫定王座決定戦で勝利。悲願のベルトに泣いた。しかし、そこで満足することはなく、コメントは「世界のニシオカになる」に変わった。その言葉通り、メキシコ、ラスベガスでの防衛戦と、積極的に海外のリングに立った。

▼目標を口に出し続けることで、自分を追い込み、それに周りも触発され、スタッフ一丸となって夢舞台を手繰り寄せた。今の西岡選手のコメントは「集大成」。ボクサー生活18年、そのすべてが詰まった両の拳に、日本ボクシング界の未来も乗せて来月13日、未知のリングに立つ。(東京・HM)

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