コラム

2012/10/26

電子化にない収集の楽しみ(茨城・HS)

電子化にない収集の楽しみ

▼国連の専門機関「国際電気通信連合」によると、このほど世界のインターネット利用者数が23億人に達したそうだ。現在の世界人口70億人のうち、実に3分の1の人がネットを利用していることになる。情報化社会と言われるようになって久しいが、ネットにより今後もさらに世界の距離は縮まっていくのだろう。

▼10年前の両者の数字を比較すると、世界人口62億人に対し、ネット利用者数は6億人。中でも中国は、2002年に3500万人だった利用者が、ことし6月末の時点で5億3800万人まで増加した。

▼ネットの普及で市場が縮小していると言われるのが、新聞や書籍といった紙媒体だ。紙媒体は、ネットに比べるとどうしても手軽さで遅れをとってしまう。しかも、ネットの検索機能は調べ物をする時間を大幅に短縮してくれる優れもので、ネットをする上で必要不可欠な機能になっている。

▼しかし、ネットには新聞や書籍を手にした時の味わいがない。実際に手に取り、自分の手でページをめくるあの感覚は、マウスやタッチパッドでは再現することなどできはしない。また、装丁に凝った本は手元に残しておくことができるし、新聞の記事は切り取ってスクラップしておくこともできる。

▼最近は電子書籍の登場でますます紙の立場が危うくなりつつある。だが、人の心から「収集の楽しさ」がなくならない限り、紙がなくなることはないだろう。楽しいと感じることは人間の特権であり、それを自ら手放すことは考えられない。逆に言えば、紙がなくなる時は、人間の脳が電子化され、無味乾燥になる時なのではないだろうか。(茨城・HS)

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