コラム

2012/11/02

越後国は1300年(新潟・KK)

越後国は1300年

▼現在の都道府県を道や州に再編し、国の出先機関の権限を委譲する道州制の導入を求める動きが活発だ。道州制の議論においては新潟県の位置付けが非常に不明確であり、東北、北陸、北関東に属する区域案が示されてもいるが、新潟県民にとっては、いずれの案もピンとこないのが実感だ。

▼新潟県は国土交通省や農林水産省は北陸、財務省や経済産業省は関東、電力は東北などと所管が異なり、明確に区域分けができない位置付けとなっているが、それが逆に特徴であるともいえる。

▼かつて越後国と呼ばれた国域の範囲は712年(和銅5年)に、現在の山形県と秋田県に当たる出羽国が成立したことで確定。今年は新潟県の「かたち」が確定してから、ちょうど1300年になる。国域の確定は政治・経済・文化に大きな影響を与え、現在の新潟県の基礎を創った。そのため県では記念講演会やシンポジウムなどを通じて、今から1300年前の越後国に想いを馳せ、埋蔵文化財の歴史的価値を再確認する取組みを進めている。

▼飛鳥時代に大和より北の日本海側の地域は越国と呼ばれ、690年頃に越前・越中・越後の3国に分かれたものの、今の北陸3県と新潟県のような分け方ではなく、712年までの約20年間の間に行われた各種変更を経て、越後国の国域が確定したという。

▼市町村の形が大幅に変わった平成の大合併に引き続き、都道府県の形が変わってしまうのかは今後の情勢次第だが、拙速な判断は避けるべきであり、その前に自分が住んでいる都道府県がいつ、どのようにして形づくられたのかを正しく知り、歴史を学ぶ必要があるだろう。(新潟・KK)

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