コラム

2012/11/08

真実を伝える役割(埼玉・YW)

真実を伝える役割

▼昨今、新聞社として、ジャーナリストとしてあってはならないことが続発し、改めてマスコミのいい加減さと信頼の失墜が急速に広がっている。

▼良い例がiPS細胞を用いての手術をしたとした本人の言い分を、ウラをとればすぐに真実が分かるのに、そのまま掲載した全国紙と通信社。誤報とお侘びおよび検証記事を掲載しているが、本人の一方的な言葉を鵜呑みにするというおよそ記者とはいえない行為だ。読者から学会から、「お前らの記者は2流か本当に記者なのか」とクレームが殺到している。

▼世界で最も権威のある新聞の1つニューヨークタイムズの東京支局長のファウラー氏は自署で、「権力を監視しないどころか発表を有り難がる権力の番犬」「本当のことを書かない記者クラブ制度の弊害」などの趣旨を記している。自らはそうはならないと肝に命じかつ努力しているつもりだが、耳の痛い表現ではある。

▼確かに一般紙を読むと、警察の発表をたれ流し、結果的に誤報となり、誤認逮捕の片棒かつぎのようになり、無罪の人を紙面上で傷つけたことになる。彼らの言い分は発表者が悪く、自分は悪くないとし、反省の念を感じない。

▼逆に9年前、全国紙で当時県民無き県政を思うままにしていた土屋埼玉県知事の特集を連載し、土屋氏は未明の時間帯に任期途中でやめると記者会見した。そのジャーナリズムの原点を貫いた連載は今でも埼玉県内では語り草になっている。記者は権力の監視役であり追認機関ではない。今、専門紙といえど、発表やネットの貼り付きを写すのは慎み、ウラどりに努めることを再確認したい。(埼玉・YW)

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