コラム

2012/11/13

ビジョン&ワークハード(茨城・KS)

ビジョン&ワークハード

▼アメリカ先住民のアメリカン・インディアンには、「ビジョンクエスト」という儀式がある。大抵は成人となる節目のときに行われるもので、大自然の中に身を投じて天からの啓示を受けることが目的だ。

▼ただ一人で深い原生林や切り立つ山に入り、4日間に渡って飲まず食わず、寝ず動かず…。ひたすら暗闇、コヨーテ、熊などの恐怖や飢え、乾き、睡魔に耐えて無欲で瞑想する。想像を絶するほどの過酷な試練だ。

▼先日、「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」で見事ノーベル生理学・医学賞に輝き、一躍名士となった山中伸弥氏。日本テレビの情報番組のインタビューで、座右の銘は?VW?と答えていた。もちろんドイツの自動車メーカーのことではない。「VISION & WORK HARD(ビジョン・アンド・ワークハード)」?展望と勤勉?のことである。

▼山中氏は研究について大好きなスポーツに例え、「野球で3割バッターはすごいが、実は7割が失敗。しかし研究はもっと過酷で、10回中1回成功すればいいほう。しかも、野球は1回ヒットを打てば拍手喝采だが、実験では1回成功しても目に見える変化がない」と話す。氏の研究もまた、気の遠くなるような試練の連続であろう。

▼この偉大なる栄誉に便乗しようと自称研究者が嘘を吐いて空中分解した。またある近隣国では、ノーベル賞の受賞者数で日本に追い付け追い越せと躍起になっているらしい。彼らが受賞できないのは、難病に苦しむ患者を救いたいというような確固たる?ビジョン?と、世のため人のために一生懸命に働く?ワークハード?の精神が欠如しているからにほかならない。(茨城・KS)

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