コラム

2012/11/14

「適当」がなにより(群馬・MN)

「適当」がなにより

▼過日、冷蔵庫内の整理を兼ねて目についた野菜を適当に放り込んでカレーを作ったら、とても残念なものができ上がってしまった。分量通りのルーを入れているのに、なぜか味は異様に濃くてしょっぱい。食べられないことはないが決しておいしいとは言えない。

▼近年はいい加減という意味で使われることも多い「適当」という言葉。文字で表現するには「テキトー」とカタカナで書くとニュアンスが伝わると思う。改めて辞書を引くと、意味は?ある条件にうまく当てはまること?程度などがほどよいこと?いい加減なさま(大辞泉)―の3種類。口語では?の意味で使われることも多いが、本来は?と?の意味である。

▼「適当にやっておいて」と言ったものが「テキトー」に処理されて困ったという笑い話はあちこちにあるだろう。笑い話で済めばいいが、会社や個人の信用、もしくは文化財の保存状態に関わるなら大問題。8月に判明した、スペインの教会の柱に描かれたフレスコ画は現在どうなっているのか。

▼自ら手を挙げ修復の絵筆を取った高齢の信者は、もちろん「テキトー」に筆を進めたわけではなく、彼女なりに真剣だったはずだと推察されるが、その結果は悲惨なものになってしまった。彼女の修復が「適当」であったとは言いがたいが、教会や自治体などの管理もまた、果たして適当であっただろうか。

▼個人的には修復後の姿もユーモアがあって嫌いではない。しかしカレーにはやはり人参、玉ねぎ、ジャガイモが合うように、教会に描かれたものとしては描かれた当初と同じ、天上を見上げる姿のキリストが似合っている。(群馬・MN)

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