コラム

2012/11/22

戦わずして勝つために(東京・JI)

戦わずして勝つために

▼2才の娘に嫌われている。風呂は一緒に入ってくれず、同じ布団に入ることも拒絶される。彼女は常に母親と共に行動し、モノを欲しがる時だけ父親に笑顔を見せる。何とも末恐ろしい。周囲からは「過剰な愛情が原因」と言われるが、実際は愛情を示す機会すら与えてもらえない。

▼ともかく、人生経験2年程度の者に屈服するわけにはいかない。しかし腕力で抑え込めば、さらに嫌われることは間違いない。「敵じゃないよ味方だよ」というこちらの意図を理解してもらう必要がある。良好な関係性を築くまで、父娘の争いは続くのだろう。

▼「戦わずして勝つ」を最善の方策と主張する、兵法の書である中国の古典『孫子』。企業経営の指南書として読まれることも多い同書の解説書を読むと、戦争と戦闘の違いが説明してある。戦争には空爆や銃撃などのイメージがあるが、これらは「戦闘」であり、戦争の目的は敵の意図を打ち砕くこと。戦闘は、戦争の一つの形態に過ぎないと説明されている。また「戦争の本質は、ルールなきだまし合い」と書かれている。

▼企業がライバル社に勝つため、武器を用いて戦闘することはない。しかし計画を立てて人材や物資を活用し、利益獲得を狙う相手企業が市場から退くまで作戦を実行することはあるだろう。自らの損失を極力小さくするためには、相手をだまして勝利を手に入れることも必要なのかもしれない。

▼娘と仲良くなるため、争わずして良好な関係を築きたい。彼女の嫌がる風呂・布団は共にせず、物資活用でご機嫌を取る。だが、これでは現在と変わらない。どうすれば良いか、お知恵を拝借したい。(東京・JI)

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