コラム

2012/11/27

思いこみが足かせに(東京・HM)

思い込みが足かせに

▼シャリを右手で握り、左手にネタを置く、右手の指でワサビを付けて、シャリを乗せる。形を整えるように握る。先日、握り寿司をつくってみた。やってみれば結構簡単。もちろん本職の寿司屋さんには遠く及ばないだろうが、家庭で楽しむには十分なできばえ。考えてみれば作業自体はおにぎりを握るのと大差がない。なぜ、これまでやってみようと思わなかったのか。

▼きっかけは、友人が冗談で言った、「家でつくってみれば」の一言。家庭では手巻き寿司、握り寿司は外で食べるものという固定観念、思い込みがあったため、つくってみようという発想がなかった。

▼思い込みというものは、非常にやっかいで、自分ではそれが当たり前で、常識だと思っているから、疑問に感じることもない。だから行動が制限される。「思い込み」の枠の中で物事を考えてしまう。

▼建設業界は受注産業で、自分で物をつくって売り出す事ができない。だから自社の努力だけでは限界がある、という話をよく聞く。確かにその通りではあるが、100パーセントそうだろうか。ある地方の土木会社の話。地道な営業活動を行い、近隣の住宅の駐車場や側溝の修繕、敷地内の草刈りなど細かなもので、受注を伸ばし、経営改善が進んでいるという。公共に頼っていた時にはなかった発想だったと言う。

▼当たり前のように業務上で行っているものも、見直してみれば改良の余地があるのではないか。思い込みが足かせになっていないか。寿司は外で食べるもの、でも一度ぐらい握ってみるか。そういう思い切った発想が時に新しい発見につながるのかもしれない。(東京・HM)

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