コラム

2012/12/29

清盛に象徴する1年(群馬・AN)

清盛に象徴する1年

▼本年も残すところあとわずかとなったが、相変わらず慌ただしい1年であった。光陰矢のごとし―。自分がこの1年間で積んできた知識と経験などを、詳細に思い出す余裕はないほどである。

▼NHKの大河ドラマ『平清盛』が23日をもって最終回を迎えた。大河ドラマの開始から50年目という節目の年だったが、脚本家のドラマを構成する意図だろうが「画面が暗い」「人間関係がわかりづらい」などの指摘・批判が相次いだ。そのため視聴率は大河ドラマ史上最低を記録するなど低迷を続けた。

▼平安時代末期といった時代設定も低視聴率の要因の1つと考えられているが、別な視点から考えると忠臣蔵の大石内蔵助や明治維新の立役者だった坂本龍馬など時代のヒーローではない平清盛を主人公に据えたことは、これまでにないチャレンジだったろうか。

▼その清盛を中心とした平家一門の栄枯盛衰を琵琶法師が語り継いだ『平家物語』。冒頭で「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり…」は、よく知られている。太政大臣の地位にまで昇りつめ、栄華の絶頂を極めた清盛だったが、慢心もあったろう。源頼朝率いる源氏によって平家は滅亡の一途を辿ることとなる。まさに今年の国政を象徴するようだ。

▼もうすぐ大晦日。31日の夜半から元旦にかけて除夜の鐘が各地で響き渡る。梵鐘を108回つくことは煩悩の消滅を祈念するため。107回目までは旧年中に、残る1回は新年につくのが慣習だという。小欄の締めくくりの名文が浮かばないのも煩悩のせいだろうか。まだまだ精進が足りないと反省しきりである。どうぞ良い新年をお迎え下さい。(群馬・AN)

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