コラム

2012/12/20

図書館のあり方(山梨・TT)

図書館のあり方

▼甲府市立図書館の新刊コーナーで『読書を支えるスウェーデンの公共図書館』を借りた。生活圏内の図書館しか知らない者には、興味をそそるタイトルである。

▼スウェーデンでは、19世紀後半から20世紀の禁酒運動を始めとする、社会改革のための民衆運動が基になり、それを国が支援し図書館が設置された。自主的な生涯学習が図書館というもののベースになっているようだ。

▼それでも電子書籍の普及と、娯楽が増えたことにより子供の本離れが進んでいる悩みを抱えているのは日本と同じ。この問題を深刻に捉え、通学バスの中に図書コーナーを設置したり、学校図書館と地域図書館を統合するなど様々な活動を徹底して展開している。

▼山梨県でも甲府市丸の内地区の県立図書館が、老朽化や収蔵スペースの確保が懸案事項となり新築移転し先月、甲府駅北口に開館したばかり。新図書館は、地上3階建地下1階、延床面積1万452?と、旧図書館の2倍以上の規模で誕生。施設は蔵書・閲覧コーナーのほかに多目的展覧会場やカフェ、多目的ホールが備えられている。新館長には作家の阿刀田高氏が就任。

▼新館長は「読書や活字文化が非常に大きな岐路に立っているということは間違いない。こういう時に、何か理屈を述べるんじゃなくて、実際に役立つようなことをやるべきではないのかな、と思ったんですよ」話していた。コスト削減の中、質の高いサービスが求められ、また、書籍のネット販売や電子ブックが好況な一方、元気を失う町の書店とどう共存するか。課題は山積だが、日本一の県立図書館にと、今後の展開に期待が寄せられている。(山梨・TT)

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