コラム

2013/01/25

推進したい地産地消(長野・EM)

推進したい地産地消


▼ネット通販を利用するようになって久しい。一昔前はCDショップに足繁く通っていたが、今はパ

ソコンや携帯電話を介して世界中の店舗を巡ることが出来る。長旅で時にジャケットが破れているの

はご愛嬌。新品のアルバムが数100円から手に入ることに満足している。


▼昨今、一般競争入札が広く普及し、応札者数が3桁に迫る案件もあると聞く。「同じものなら、よ

り安く」は消費者の最大のニーズであり、選択肢は多いほどよい。しかし、万人の財産となる公共事

業にこれをそのまま当てはめてよいものか。


▼ある自治体は、建築コンサル業務の発注に当たり、それまで全域から募っていた参加者を、細分化

した域内に制限するよう改めた。「より地域に精通した者、非常時に迅速な対応ができる者から選択

できる。また、設計の委託先と工事監理を随意契約するケースも多いことから、効率性を改善する意

図もある」というのが理由だ。


▼もちろん、エリアの設定は競争性を担保できる範囲とし、大型案件はこれによらないという。過当

競争により建設産業が疲弊しきった今、「地域の仕事は、地域の企業に」という方向へ舵を切ること

に<ルビ>躊躇<ちゅうちょ/ルビ>してはならない。それでも消費者ニーズに逆行すると質されるのな

ら、かの自治体で優良表彰の栄に浴した技術者の、謝辞の言葉で応じたい。


▼「現場は自分の子どもだと考えます。一つとして同じ現場はありません。ですから絶えず気に掛け、

生じる様々な問題に対処しながら育てていくのです」。公共事業には「同じ市場なら、より安く」と

いう前提が成り立たないことを、市民にしっかり伝える必要がある。(長野・EM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら