2013/02/08
求められる通い合う心(茨城・HN)
求められる通い合う心
▼新年の催し物の一つとして、地元では、どんと祭が恒例行事となっている。子ども達に正月ならで
はの行事を伝えていこうと、老人会が毎年開催。ベテランの方々が臼と杵でつく本格的な餅つきや、
串団子、紅白の餅を木の枝に差して無病息災を願う繭玉づくりなど。ことしから参加した筆者と長女
には、すべてが新鮮で心温まる時間だった。
▼そんな明るい話の一方で、世間では、大阪市立桜宮高校の男子生徒が教員の体罰により自殺したと
される問題で話題沸騰している。体育系学科の廃止と決定したものの、受験希望の子どもを持つ父兄
とのわだかまりは、一件落着とは行かないようだ。
▼茨城県の教育委員会でも、これを受け体罰に関する調査や体罰防止マニュアルの作成、いじめ解消
サポートセンターの改組など、さまざまな取り組みを発表。県内でも教員が体罰を行っていないか、
調査と対策に躍起になっている。
▼また会見では、昨年4月に閉校となった旧常陸太田市立瑞竜小学校の跡地を、知的障害の特別支援
学校として新設させる考えも示された。土地は未取得だが、市からは大筋で了解を得ているという。
しかし、地元民にとっては、県や市から、地元へ事前の相談や説明が一切無かったのが気にかかる。
▼とは言え、いずれの内容も、子ども達のためを想い、取られた方策であろう。しかし、どんと祭を
伝える老人会のような、暖かみのある取り組みとは違った感じがする。何か重要なものが欠けてはい
ないだろうか―。体罰により行き過ぎた教育。効率性ばかりを追い求めた対応。社会情勢の変化とは
言え、やりきれない気持ちである。(茨城・HN)