コラム

2013/02/14

本当の朝日は昇るのか(東京・HM)

本当の朝日は昇るのか


▼2013年度の当初予算案が発表された。防災・減災などで公共事業にも手厚い予算となり、減少

を続けていた公共事業費が下げ止まった。本年度の大型補正予算と合わせた15カ月予算で見ると公共

事業費は、7兆7279億円に上る。


▼春が来ない冬はない、陽が上らない夜がない、と歯を食いしばってきた建設業界にとっては、待ち

に待った夜明けの気配。しかし、事業費が増えればすぐに業界が良くなるほど単純な話ではない。今

度は、予算執行が進むのかという問題が出てくる。企業が減り、労働者も減った。疲弊しきった建設

業界にとって今回の予算は、弱り細った人に無理やり大量の食事を摂らせるようなものになりかねな

い。


▼では人を増やせばいいのかというとそうでもない。今後の公共事業の推移が分からないからだ。今

回の予算が一過性のもので、2年、3年後にまた減るのであれば人は増やせない。それならば今の体

制で、できる範囲の工事を請けていればいい、というのが業界の本音だ。


▼中央自動車道笹子トンネルの事故から、インフラの老朽化対策に注目が集まっている。今後は、維

持管理・更新に軸足をおいた公共事業に移っていくとも言われるが、維持管理に対しどの程度の予算

が必要なのかも分かっていないのが現状だ。


▼国は、一刻も早く今後必要になる公共事業費を算出すべき。横ばいにしろ増加するにしろ、10年、

20年後の予算推移の青写真を示すべきだ。そういうものがなければ、健全な体質を要求される企業に

とって、人を増やすことはできない。薄明かりが射してきた建設業界。本当の朝日が昇るのかはこれ

からだ。(東京・HM)


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