2013/02/27
古いテープのメッセージ(群馬・KK)
古いテープのメッセージ
▼築30年になる実家の押し入れを整理していると「大事にしておく」とだけ記され、ホコリをかぶり
ツメが折られた1本のカセットテープが出てきた。何が録音されているか気になり、押し入れの整理
もそこそこにカセットデッキを探しはじめた。
▼「やること済ませてからにしてよ!」との周りの声を傍目に、やっきになってカセットデッキを探
すと、電池を入れる部分がガムテープで留められ、ダビングが出来るタイプのカセットデッキがこれ
また押し入れの奥から見つかった。すっかり古ぼけたそのカセットデッキに恐る恐るコンセントを差
し込んでみると「電源ランプ」が点灯した。
▼最近ではすっかり存在感を失ってしまったカセットテープやデッキ。CDやオンライン音楽配信な
どのいわゆるデジタルコンテンツの普及により、今では音楽再生機にカセットテープを利用するタイ
プは見かけなくなってしまった。
▼我が家も例に漏れずデジタルコンテンツを利用しており、カセットテープを手に取るのは何年ぶり
だろうか。冒頭のツメが折られ「大事にしておく」と記された1本のカセットテープをカセットデッ
キに入れて再生すると、何と20年前にこの世を去った祖父の声が聞こえてくるではないか。驚きと感
動である。
▼「大事にしておく」とメモがある、たかだか15分ほどの録音時間だったそのカセットテープ。昨今
のデジタルコンテンツから見ると、お世辞にも大容量とはいえない録音時間だったが、時代を超えて、
祖父との思い出を蘇らせるには十分な記憶容量だった。古ぼけたテープにカセットデッキでも、大き
な感動は伝えられる。(群馬・KK)