コラム

2013/03/23

トップの「攻め」の決断(東京・HM)

トップの「攻め」の決断


▼ボクシングの世界チャンピオンを認定する団体は、WBA・WBC・IBF・WBOが現在のメジ

ャー4団体と言われている。日本の場合は、そのうちWBAとWBCのみを認める形が長らく続いて

いたが、4月1日付けで残り2団体も認めることを決めた。日本ボクシング界にとっては大きな決断。

これまで慎重だった理由はチャンピオンの価値の低下にある。


▼認定団体を増やすことでおそれていたのは、世界戦の乱発。これはボクシングを盛り上げるどころ

か、逆に人気の低迷を招くことになる可能性が高い。次々行われる世界戦により、世界チャンピオン

の重みがなくなったしまうためだ。


▼日本ボクシング界の大きな課題は、重量級の強化と世界進出。これまで日本国内はミドル級までし

かランキングがなく、軽い階級に力を入れていたため、重量級で世界レベルの選手が極端に少ない。

また、軽量級には世界チャンピオンが多いが、海外、例えば本場アメリカなどで活躍する選手が少な

い。


▼こうした現状に風穴を開ける可能性があるのが今回の2団体を認めるという決断。今後は、世界挑

戦者資格の内規を定め、容易に世界挑戦ができないようハードルを設定するなどの対策を進める方針

だが、人気低迷というハイリスクな決断にファンからも賛否両論ある。


▼どんな決断にもメリットとデメリットがあり、その間で苦悩するのが組織のトップ。積極的すぎる

のも怖いが、慎重すぎても前に進まない。今回、ボクシング界が下した「攻め」の決断。数年後、あ

るいは数10年後に出てくるであろう答えが「正解」であることを期待している。(東京・HM)


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