コラム

2013/03/27

ルールに縛られない人(東京・JI)

ルールに縛られない人


▼軽い気持ちになれるビジネス本を読んだ。フリーライターの熊山准氏が書いた『仕事で使う情報は、

全部メモノートにまとめてみた』(ぱる出版刊)。アイデアなどを小さなノートにメモするテーマ本

は書店に多い。著者は、人気の高い手帳ブランドであるモレスキンを「高価な上に使いにくい」「愛

用者は自分に酔っている」と罵倒し、自身が愛用するロルバーンというリング式ノート手帳を薦める。


▼ところが著者は、ロルバーンのデメリットも書いてしまう。ロルバーンは「判型が特殊でコピーす

る時に中途半端」。付属のポケットに名刺を入れると「すっぽ抜けることもある」。切り取り用ミシ

ン目もあるが「注意を払わないと、ミシン目ではなくリング穴の部分から破れる」


▼ノートに限らず、どんな物事にもメリットとデメリットがある。公共工事が増えることは建設業界

としては嬉しい限りだが、一方で資材の不足や価格高騰も懸念される。仕事はあっても人材不足で仕

事を受けられない場合もある。何を得て何を捨てるのか、我々は取捨選択を常に迫られている。


▼同書の主張はメモの一元化だ。しかし著者は、チラシ裏や付せんなどにもメモすることを白状し、

ルールを遂行できなくても「仕方がない」と開き直る。メモノートに予定リストを書くのも良いと述

べながら、当の本人は実行していない。


▼お薦め商品の欠点を羅列し、自己主張も容易に曲げる著者。しかし商品への不満は、愛情から生ま

れている。開き直りも彼の素直な性格が出ていると感じられる。その自由さに触れ、タイトルとは無

関係に気持ちが少し楽になった。(東京・JI)


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