コラム

2013/04/03

正確に伝えるための表現(新潟・KK)

正確に伝えるための表現


▼「改築事業となっていますが、新築ではないのでしょうか」。新潟県が計画する県立病院改築事業

の地元説明会の席上、住民が不安そうに質問すると、多くの参加者がうなずいた。「現地での建替え

となるので、我々としては改築と表現しましたが、新築です。ご安心ください」とする県担当者の説

明を聞き、住民は安堵の表情を浮かべた。


▼築40年以上が経過し、老朽化が著しい既存病院では、これまでに必要な改修を重ねてきた。それも

限界で、一日も早い建替えの実現は住民の悲願。改修ではなく、新築を願う切なる思いから冒頭の発

言が出たものだが、普段から馴染みのない表現に不安を覚える気持ちは理解できる。県側も「わかり

にくいようでしたら新築と表現を変えますが」と続けた。


▼建築基準法でいう改築とは「建築物の全部若しくは一部を除去し、又はこれらの部分が災害等によ

って消滅した後、引き続いてこれと用途、構造、規模等の著しく異ならない建築物を建てる」こと。

従前の建築物と著しく異なる場合は新築または増築となるとされており、確かに紛らわしい。


▼今回のケースでは、これから基本構想の検討に入るため、厳密に言えば改築なのか新築なのかはわ

からない。ただし既存病院と同じ規模、機能での建替えを想定していることから改築になると思われ

る。


▼普段から一般的に使っている言葉が誤って解釈されるとは考えもしなかったが、今回の住民説明会

を取材し、ひょっとしたら記事の意図が正しく伝わっていない場合もあるかもしれないと感じた。改

めて簡潔な表現に努め、正しい用語解説にも取組みたいと思う。(新潟・KK)


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