コラム

2013/04/12

カフニケーションの消失(茨城・KM)

カフニケーションの消失


▼講演会で休憩を挟んだ際、隣の席から聞こえてきた会話。「戻ってくるの早いね。めずらしい」

「煙草を一緒に吸う人が居ないからね。一昔前は煙草を吸いに出れば、顔見知りとタバコミュニケー

ションだったけど、今は吸う人も少なくなったからね。寂しいものだよ」


▼横で聞きながら「確かに」と思わずうなずいた。筆者も数年前までは喫煙者。タバコミュニケーシ

ョンの推奨者だった。なかなか禁煙に踏み切れなかった一因に、コミュニケーションの機会を失うの

が怖かったのもある。今では煙や臭いが苦手になってしまい、喫煙所に1分も居ることができないが。


▼煙は出ないが、その存在を煙たがられているのは花粉だ。もはや国民病とも言われており、春にマ

スクをしていると、必ずと言っていいほど「花粉症ですか」と聞かれる。そこから広がる花粉症話。

「薬は飲んでいるか。病院には行っているか。自分はどれだけ重症か」同じアレルギーの者同士に生

まれる連帯感と交流。カフニケーションとでも呼ぼうか。


▼つくば市にある森林総合研究所は、遺伝子組み換え技術により、スギの花粉形成を抑制する技術を

開発。実用化はまだ先のようだが、花粉症患者の救世主と期待されている。


▼タバコミュニケーション、飲みニケーションが減り、寂しさを感じる人が居る一方、増える花粉症

患者とカフニケーション。しかし無花粉スギの開発により、カフニケーションが無くなる日もそう遠

くないのでは。カフニケーションを失った時に生まれるのは、これまでのような寂しさではなく、鼻

水やくしゃみから開放された「笑顔のコミュニケーション」だろう。(茨城・KM)


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