コラム

2013/05/22

温泉が結ぶ運と縁(群馬・MY)

温泉が結ぶ運と縁


▼伊香保、四万、水上など群馬県には名湯が多い。なかでも草津温泉はダントツの人気を博しており、

江戸時代から全国温泉番付けの上位に食い込んでいる。高速道路から離れているなど交通の便は決し

てよくないが、昨年は264万人もの人々が訪れた。


▼そんな草津では昨年度から3カ年で湯畑周辺の再開発が進む。先月、その第1弾となる湯治体験施

設・御座之湯<ござのゆ>がオープン。明治時代に実在した湯治場を再現したもので、材質にもこだわ

り、観光客を楽しませる新たな目玉となりそうだ。


▼一方、東京では足湯付きのおしゃれなカフェや居酒屋が出現。本物の温泉ではないが、足湯ととも

に料理やお酒を楽しむコンセプトが若い女性を中心に流行っている。群馬県でも本物の源泉を生かし

て道の駅などに足湯の整備が進められ、無料開放されている施設も多いが、もう一歩工夫がほしいと

の声も聞かれる。


▼草津町湯畑再開発の総監修を務める北山創造研究所の北山孝雄氏は「良い仕事には運と縁が大事」

と語る。再開発にかける黒岩信忠町長の熱い思いに胸を打たれ、引き受けた仕事に情熱を注いでいる

ようすが伺える。来年には和風な回廊に囲まれた「湯路広場」、再来年には新しい湯もみ体験施設

「熱の湯」が完成する予定だ。


▼人が集い、お酒を楽しみ、語り合う場には文化が生まれるものだ。江戸時代、温泉場は庶民に大人

気だった。湯治場には多くの人が寄り合って土地の話に花を咲かせた。温泉に集まったさまざまな

人々が気軽に会話しお酒を酌み交わす―そんな場が「運と縁」を生み出すようになれば、いっそう温

泉の魅力も高まるはずだ。(群馬・MY)


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