コラム

2013/06/05

シェイクスピアの面白さ(群馬・MN)

シェイクスピアの面白さ


▼読書好きの友人や知人に「どの本を選んでも面白いし、簡単で短いからすぐ読める」と勧めても、

なかなか読んでもらえない作家の1人にシェイクスピアがいる。かつて日本で「沙吉比亜」と借字さ

れたことから今でも「沙翁<さおう>」と呼ばれる。


▼シェイクスピアは英国が生んだ世界最高の劇作家である。原文は古典英語のため、日本語訳も古典

的過ぎたのか「長編で難解な作風」のイメージを持った読者は多い。しかし、現代語訳はやさしくて

面白い。ユーモアにあふれ、四大悲劇の中でさえ皮肉の効いたせりふにクスッと笑える場面もある。

悲劇「マクベス」は本編121ページという短さ。


▼学生時代に「シェイクスピアを2作以上」という指定で感想文の課題を出されなければ、一生めぐ

り合えなかったかもしれない。このテーマが「長編で難解、現代的ではないから面白くない」という

イメージを、見事に払拭してくれた。


▼シェイクスピアの書くキャラクターは、いずれも生き生きとした人間味豊か。文字を読むだけで表

情や感情がありありと脳裏に浮かんでくる。悲劇「ハムレット」で号泣し、喜劇「ヴェニスの商人」

で大いに笑った。シェイクスピア作品でこんなに泣き、あれほど笑えるとは想像もできなかった。


▼「数々の個性的なキャラクターに生涯出会わずにいたら」と想像すると、もの寂しさが募る。読み

直すたびに大きな出会いがある。シェイクスピアは一方で、知る人ぞ知る名言の持ち主でもある。

「終わりよければ、すべて良し」「生きるべきか、死ぬべきか。それが疑問だ」。シェイクスピア作

品は今も本棚に増殖している。(群馬・MN)


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