コラム

2013/06/06

インフラは社会の子供(東京・JI)

インフラは社会の子供


▼悲しいニュースの中でも、特に児童虐待の事件は胸が締め付けられる。『しつけ』と称し、怒れる

感情のままに無抵抗の子供を激しく痛めつける大人の何と多いことか。「我こそは善であり正義」と

ばかりに、小さなミスを犯した子供を心身ともに傷つける。


▼虐待とセットの場合もあるが、育児放棄(ネグレクト)によって十分な食事を与えられず、衰弱死

する例も見られる。自分自身を戒めることはせず、一方では小さき者の失敗を厳罰に処す。こうした

気分次第の過剰と放置が子供たちを苦しめている。


▼話は変わるが、高速道路会社(NEXCO)3社が、長期保全・更新に必要な費用を5・4兆円と

試算した。場合によっては最大10兆円を超えるという。今年初めには首都高速が、一部路線の大規模

更新には9100億円が必要と発表している。インフラ老朽対策は重要な事業であるため、決して過

剰な試算ではないだろう。しかし、これだけ多額の費用を準備するのは容易ではない。


▼高速道路に限らずインフラの老朽化は、ようやく建設業界だけでなく一般社会でも問題視されるよ

うになった。だからといって、施設管理者による対策が十分に練られているわけではない。まるでネ

グレクトのように放置されている場合も数多くある。


▼インフラは社会が生んだ子供である。我々が大切に育て守らなければならない。放置は、後年にお

いて過剰なまでの費用が必要となる。安全な暮らしに健全なインフラは欠かせないだけに、計画的に

保全していくべきだろう。老朽化の危険性を多くの国民が認識し、対策への気運が高まることを期待

したい。(東京・JI)


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