2013/06/20
新しい「土木広報」を(東京・UT)
新しい「土木広報」を
▼現在、建設就業者は、55歳以上が約33%を占めている。また60歳以上の技能労働者が52万人存在し、
全体の約18%に上っているというデータもある。一人前となるのに10年程度はかかることを考えれば、
若年入職者の確保は喫緊の課題。ただ肝心の若年入職者(24歳以下)は、1992年と比較した場合、
09年で5分の1にまで落ち込んでいる。追い討ちをかけるように、離職率も高い。
▼5月14日に開かれた関東整備局と日本建設業連合会との意見交換会で、例年と違った風景が見られ
た。森北佳昭局長の意向で今回は、フリー討議に充てる時間を多くした。魅力ある建設業のための環
境整備について、双方が意見を出し合った。
▼話題の中心となったのは、やはり若手の入職者減少と離職する原因。どちらも「収入の低さ」「仕
事のきつさ」「全国的な転勤の多さ」が主因との意見が出た。また『黒部の太陽』のような作品があ
れば一発で状況が違ってくる、という声も。確かに映画『海猿』の影響で、海上保安庁の人気が急上
昇したという話も聞く。
▼こうした議論の中で、関東地整の石橋良啓企画部長は、土木広報と観光分野とを連携した現場見学
の重要性を説いた。土木構造物そのものの魅力は、昔も今も変わらないのだろう。それに加えて現在
は、ICTを駆使した現場が出てきている。
▼3次元データを活用するCIMや情報化施工は、現場の生産性を向上させるという主目的のほか、
労務環境の改善、3Kイメージからの脱皮、ひいては若年入職者の増加にまでつなげられる可能性を
秘めている。現場見学という新しい土木広報の重要性を認識したい。(東京・UT)