コラム

2013/06/27

権力のチェック機能確認へ(埼玉・YW)

権力のチェック機能確認へ


▼ジャーナリストの鑑と言われていた朝日新聞本庄通信部記者の<きしただお>岸薫夫さんが亡くなっ

た。まさにペンで政治や社会の変革を実現させた人だ。


▼1948年、当時の埼玉県「本庄事件」で命を張った。物資統制下で町の一部ボスと暴力団が癒着

し闇取引し、警察も黙認していた。その記事を書いて暴力を受け、再三新聞で取り上げ、GHQまで

動かし、暴力追放大会では軍政部まで監視し大会開催を後押しした。その結果、警察署長、公安委員

長らが総辞職した。


▼正義を追求し権力をチェックするというマスコミ本来の機能を命がけで行い、その後単行本の発行

や映画まで作られた。今こそ岸氏の行動や魂を受け継がなくてはいけない時代ではないか。ところが

どうだろう、原発の政府報道にのった嘘発表の垂れ流し、原発の専門家の話より政府報道の鵜呑み。

最近では被告の顔写真が似ていないと言っても別人の写真を掲載する新聞社、さらになりすましで逮

捕された人への人権侵害、警察発表であたかも犯人らしく書くやり方、すべてジャーナリストとして

真摯に反省しなくてはいけない。


▼マスコミとは一般紙、専門紙であれ、ルールや政策、権力側の姿勢に対して疑問をもち読者に知ら

せる機能も有するが、すっかり抜け落ち、発表側に利用される存在になってはいまいか。建設専門紙

でも本当にその入札制度で良いのかなどの疑問を常日頃から持つべきである。


▼今こそ、故・岸氏のペンの力と記者魂をマスコミに従事する者は再確認すべきだろう。読者も、溢

れるニュースに対し、是々非々のスタンスを持てるように心がけるべき時ではなかろうか。(埼玉・

YW)


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