コラム

2013/07/09

思いやりが人を動かす(茨城・NI)

思いやりが人を動かす


▼先日、たまたま乗り合わせた電車でのこと。部活帰りらしい男子高校生のグループが大きなバッグ

を膝の上に置いて座っていた。そこに年配の女性が乗車してきた。


▼女性に気付いた一人の高校生が「次で降りますから、どうぞ」と席を譲るため立ち上がった。とこ

ろが、女性は高校生が持っていた大きな荷物が気になったのか、こう答えた。「声をかけてくれてあ

りがとうね。でも、その大きな荷物は重いでしょ?大丈夫だから降りるまではあなたが座っていてく

ださい。私はその後で座らせてもらうからね」。数分後、次の駅に電車が到着すると、高校生は女性

ににっこりと微笑み、会釈をして降りていった。


▼年上の人に席を譲るのは当たり前の行為だ。しかし、たまたま次で降りる予定だったとしても即座

に席を譲ろうとした高校生、それに感謝しながら高校生を気遣った女性。互いに相手を思いやる気持

ちが垣間見えて、見ている筆者の心がとても温もった。


▼未曽有の被害をもたらした東日本大震災。日本中、いや世界中で多くの人が義援金や救援物資の提

供、ボランティア活動など自分たちができる範囲で支援に取り組んでいる。それこそが被災者のこと

を思いやる心にほかならない。


▼一方、被災地で金目の物をあさったり、社会不安をあおるチェーンメールや災害情報を装いコンピ

ューターウイルスを送り付ける輩もいる。なんとも腹立たしい限りだ。なぜこうも自分勝手が支配す

る社会になってしまったのか。心が廃れていくのだろう。せめて人として大切な思いやりを取り戻せ

るよう、小さなことから実践していくよう心がけたいと思う。(茨城・NI)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら