コラム

2013/07/10

良い嘘と悪い嘘(群馬・SS)

良い嘘と悪い嘘


▼誰しも嘘をついたことがあるのではないか。自分にとって不都合なときには欠かせない。「嘘」と

いう字面や言葉に良いイメージを持つ人は多くないだろうが、それでもついていい嘘というものも少

なからずある。


▼日本野球機構がことしから『去年よりも飛ぶボール』に変更していることをシーズン途中に明らか

にした。ことしは去年と比較して明らかにホームラン数が多く「飛ぶボールに変わっているんじゃな

いか」などとファンの間で語られていた。その度に機構側は否定していたのだが、「ああ、やっぱり

ね」と率直に感じた。


▼それにしても不思議に思う。今回の嘘は野球ファンとして許すことはできないが、嘘をついた理由

がよくわからない。今回の日本野球機構の行動は、去年までのボールの反発係数に基準値以下のケー

スがあったことからそれを調整して『去年よりも飛ぶボール』に改良したに過ぎない。つまりは基準

値内に収めるという正しい行動だった。ところがよくわからない嘘をついたために機構やコミッショ

ナーに多くの批判が寄せられることになった。


▼ついていい嘘の代表格は余命や重篤な病の宣告だろうか。人によっては真実を知りたいケースもあ

ろうが、相手のことを思う優しさから来る嘘を100%否定することはできない。


▼正しい行動を起こしても、一つの嘘がすべてを台無しにするものだ。ついていい嘘をつくケースも

日常生活ではそうは訪れないものだろう。やはり人に対してだけでなく、自分に対しても正直である

ことが、人としてのあるべき姿なのだろうと身に染みた。心がけたいものである。(群馬・SS)


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