コラム

2013/07/13

塗装屋さんの営業(山梨・OS

塗装屋さんの営業


▼昨年のことになるが知り合いの塗装屋さんが筆者の実家を訪ねてきた。何でも「仕事がないから、

うちの屋根と壁を塗らせてくれないか」という。突然のことでびっくりしたが、実家は商店を営んで

おり、その人はよく買い物に来ていた。うち以外にも近所をまわって「あそこの家もやらせてもらっ

たから、お宅もいかがですか」と営業しているらしい。


▼最近は公共事業が減るとともに仕事が減ったと嘆いていた。元々民間投資が盛んな地域ではなく、

公共事業の減少は即生活に響いてくる。職人であるその人がたどたどしい営業トークで話す姿に現状

を垣間見た。


▼それまで「塗装やりませんか」などと営業しているのを聞いたことがない。普通は注文を待つ仕事

だ。家も古くなってきていることだし頼むことにした。数週間過ぎて実家に行ってみると壁も屋根も

見事にきれいになっていた。


▼本年度から労務単価が全国平均で15・1%引き上げられた。これまで安値受注のしわ寄せを受けて

いた下請けや労働者の賃金が上がることが期待される。行政は業界団体に、引き上げた分を自社の利

益とせずに前線の労働者に行き渡るよう要望した。とはいえ、心ない業者がふところに入れてしまう

心配はある。山梨県もその辺りは業界に周知していよう。しかし行政が直接労働者のポケットにお金

を入れることもできず、あくまでもお願いレベルだ。


▼公共事業の増加や労務単価の引き上げを耳にしてまず頭に浮かんだのが、あの塗装屋のおじさん。

以前より潤っているだろうか。経済対策で山梨県の公共事業も大幅に増えた。仕事も日当も前より増

えていることを願っている。(山梨・OS)


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