コラム

2013/08/06

奇跡の一本松のその後(茨城・HS)

奇跡の一本松のその後


▼岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」がついに復元された。東北地方の復旧・復興は依然として途

上にあるが、大津波に耐えた高さ約27mの一本松は、地元の人々を癒すだろう。今後1年間、鎮魂の

意味を込めて夜間にはライトアップするそうだ。


▼当初は震災の日にあわせて3月に記念式典を開催する予定だった。しかし、完成したレプリカが

「元の形と違う」という指摘を受け、枝の取り付け部分の角度などを調整した結果、設置が7月まで

ずれ込んでしまった。地元の人のこだわりは理解できる。だが、記念の日に間に合わなかったのは少

し残念な気もする。


▼ともあれ、奇跡の一本松は多くの人の努力で復元された。募金件数約3300件、その総額は目標

額を大きく超える約1億6300万円。相変わらず「もっと有意義なことにお金を使え」という意見

もあるようだ。ただ、シンボリックな存在としてこの一本松が復元された意味は決して小さくない。


▼茨城県でも昨年、北茨城市にある岡倉天心が瞑想したと言われる六角堂を再建した。太平洋を見下

ろす位置にあった六角堂は津波で流され、再建費用は4000万円を超えた。その大半は寄付で賄わ

れ、復元された六角堂は、昨年のグッドデザイン賞にも輝いた。


▼東日本大震災は多くの人々の命を奪い、多くの人々に大きな傷跡を残した。誰もが一人では何もで

きないということを痛感した。そんな中、一日も早く復興を成し遂げようと皆で力を合わせた結果が、

復元事業につながった。震災前に戻るにはあと何年かかるかわからないが、これを機に復旧・復興の

速度が増すことを祈らずいはいられない。(茨城・HS)


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