コラム

2013/08/07

終戦記念日の空(群馬・SN)

終戦記念日の空


▼8月15日が今年もまたやってくる。日本人にとって忘れてはいけない特別な日、終戦記念日だ。見

上げる空の色は、今とあの当時では同じだったのか、それとも違っていたのだろうか。筆者の世代に

とってはあの戦争は歴史上の出来事で、リアルには感じられない。親や祖父母に聞いたり、映画、ド

ラマなどを通じての間接的な体験だ。


▼終戦直前、世界に誇る日本の戦艦大和は、広島の呉で極秘に造船され、沖縄に向かう途中、敵の集

中爆撃を浴び鹿児島の南西沖に沈んだ。大和とともに20代そこそこの若者も多く散った。家族への別

れの手紙や遺書なども残されている。遺族にとっては悲しみのはけ口をどこにも持っていけず、やり

きれない思いだったに違いない。


▼それから60余年。現在の平和な日本は当時の多くの老若男女の命の犠牲の上に成立していることを

忘れてはならない。同時に、当時の人々が命を落として守ろうとした日本の未来が、まさに今の世の

中なのであることも。


▼日本は敗戦から奇跡的な復興を遂げた。だが、過度な商業主義、競争主義に傾注してしまったあま

り、大切な何かを失い、さまざま弊害が生じている。今の日本には学校でのいじめによる自殺、我が

子への虐待、突発的な無差別殺人事件などが起きている。南の海に散った人々がこの現実を見たなら

ばおそらくこう嘆くだろう。「われわれはこんな未来を託したわけではない」と。


▼今を生きる私たちは、先人の尊い意志に報いるためにも真の意味で国を豊かに発展させていく責務

がある。今の日本に足りないモノが何か、ことしの夏の空は教えてくれるだろうか。(群馬・SN)


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