コラム

2013/08/09

耐震強化机の登場(群馬・KS)

耐震強化机の登場


▼イスラエルの工業デザイナーであるアーサー・ブラッター氏が、耐震強化机を開発したという記事

が目に留まった。どうやら2010年のハイチ地震で倒壊した学校を見たデザイナーが、尊い命を救

いたいと開発に着手したらしい。


▼記事によれば机は上部から1トンまでの圧力に耐えられる耐久性を兼ね備え、校舎が倒壊しても机

の構造が保たれる造りになっているらしい。子ども2人が収まる大きさで、実用化はまだのようだが、

災害から若者の生命を守る身近なアイテムとして日の目を見るのが待ち遠しい。


▼文部科学省は公立学校施設耐震化の推進として、2015年度末までに完了させる目標を打ち出し、

群馬県内の自治体からも学校施設の耐震補強工事が続々と発注されている。震災による同省関係の物

的被害では、新耐震基準施行以前の施設では柱や壁の崩壊により、同基準の耐震化は喫緊の課題。ほ

かにも非構造部材の耐震化は急務だ。


▼「安に居て危を思う」(春秋左氏伝)と言うように、危険の到来を念頭において備えることは大切

だ。1トンまでの圧力に耐える机は、机の下に隠れる子どもの安全を少しでも確保するのには十分だ

と思う。1トンの対応能力で万全かと問われれば、それは誰にも分からないだろう。


▼ブラッター氏は地震国に住む多くの子どもの命を守ろうと広く普及することを呼びかけている。も

ちろん耐震机の導入よりも先に、教育施設の耐震補強率を向上させたいとの思いが根底にあるのだろ

うが、校舎の建て替えより遙かに安価で安全を確保できるかも知れない。耐震化がなかなか進まない

国々への警鐘にも取れる。(群馬・KS)


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