コラム

2013/08/21

夜空と業界を重ねた自分(群馬・AN)

夜空と業界を重ねた自分


▼39回目を迎える高崎まつりが8月3、4日に開催された。毎年70万人以上が訪れる。3日には恒例

の大花火大会も行われ、約1万5000発もの迫力ある絵筆が夜空の黒いキャンバスに踊った。この

花火大会の特徴は、夜空が白くなるまで打ち上げられるフィナーレのすごさ。


▼筆者も妻と娘を連れ、打ち上げ会場に向かったが、余りにも人出が多く、途中で断念を余儀なくさ

れた。そのため、少し離れた場所で花火を堪能しようと路肩に腰を下ろしたところ、横を通り過ぎる

お年寄りのポケットからハンカチが落ちるのが見えた。拾おうとしたところ、その夫婦の後ろを歩い

ていた若者が拾ってくれた。


▼いわゆる『ニッカボッカ』と呼ばれるダボダボな建設工事用の作業着を着ていたので、建設業に従

事している10代から20代の若者だ。「おばちゃん、ハンカチが落ちたよ」と笑顔で手渡し、お年寄り

も「ありがとうね」と返答していた。


▼筆者の前方に友人とともに腰を下ろしながら「きょう打ち上げられる花火は、おれの会社もお金を

出しているんだ」との若者の声を耳にし、協賛金のことだと瞬時に判断できた。地元の建設業者の多

くが花火大会へ協賛しており、若者が勤務する会社もその協賛企業の中の1つだったのだろう。


▼フィナーレを飾った迫力ある花火を目にしながら、なぜか脳裏に大型補正予算が浮かんだ。来年度

の公共事業費が10%程度削減されるといった情報を耳にしたからかもしれない。フィナーレを終えた

夜空は黒のキャンバスへと戻った。そこには先行きを見通せない建設業界とを重ねた自分が人混みの

雑踏にまぎれていた。(群馬・AN)


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