コラム

2013/08/28

豊富な経験が生む油断(群馬・KK)

豊富な経験が生む油断


▼京都府福知山の花火大会時における露店爆発事故は、3人死亡、57人が負傷するという悲惨な事件

となった。筆者が住む群馬県のある地区でも毎年夏祭りが開催される。焼きそばやフランクフルトな

どの露店と、地域住民が集まって組み立てた舞台があるだけの質素だが活気のある夏祭りだ。


▼狭い会場に市販の花火が3本置かれた。すぐ目の前に置かれた花火を見て、こんな近くで危ないの

ではと思ったものの、市販されている花火だから大丈夫だろうという『先入観』は、すぐにかき消さ

れた。3本の打ち上げ花火に火が付けられると、2本は雲のない夜空に高々と打ち上がった。しかし

1本だけが何かの拍子で倒れ、緑色の光が乳母車に向かって飛んでいったのだ。


▼独立行政法人国民生活センターが2008年に発表した『危害情報システムにみる花火の事故件

数』によると、1998年から2008年までに玩具煙火いわゆる『おもちゃ花火』で586件の事

故が報告されている。その中には打ち上げ花火が爆発し、左眼球が破裂して失明したなどのショッキ

ングな事例もあった。


▼先の夏祭りでは、乳母車が花火に背を向けて置かれていたため、幼児には当たらなかったが、乳母

車を瞬時に抱きかかえ体を張ってわが子を守った母親は、顔と口内にやけどを負った。また一緒にい

た女の子も足に小さなやけどを負った。


▼花火大会ばかりではない、我々の周囲で、大小にかかわらず経験が生んだ『油断』が時には決して

小さくない結末を迎えることを忘れてはならないだろう。赤ちゃんを必死に守る母親の行動が、今で

も目に焼き付いて離れない。(群馬・KK)


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