コラム

2013/10/03

東京の御岳山を楽しむ(東京・JI)

東京の御岳山を楽しむ


▼東京・青梅市に、標高929mの御岳山<みたけさん>という山がある。八王子市の高尾山ほど有名

ではないが、気軽に登山を楽しめる人気のスポットだ。新宿から電車で行くなら、中央線、青梅線と

乗り継いで概ね1時間半。そこからバスで10分ほど走ると、ケーブルカー乗り場に到着する。


▼歩けば1時間かかるところを、ケーブルカーなら6分で登る。そこから舗装路を歩いて幾つかの宿

や神社を通り過ぎれば、その先は山の中。木立の間を抜けて眼前に出現するのは高い壁のように立つ

「天狗岩」。さらに、岩と清流が爽やかな風景を映し出す「ロックガーデン」。静かな空間に水の音

が響く落差10mの「綾広の滝」に出会う。


▼登山は趣味ではないが、年に一度はこうして山の中に身を溶け込ませている。仕事のことも家庭の

ことも忘れて、ただ歩く。何も考えず、登って下りることを目的に山道を踏みしめる。自然の広大さ

に目を奪われつつ、足を進める。この行為に意味も理由もない。まさに「そこに山があるから」であ

る。


▼歩いていて感じるのは、中高年、特に高齢者が多いことだ。一時期は「山ガール」と称するカラフ

ルなアウトドアファッションの若い女性もいたが、ガールは少なくなった。むしろ数10年前にガール

だった人が、群れをなして登山を楽しんでいる。


▼超高層の建築物や縦横無尽に走る道路・鉄道は東京の象徴だ。オリンピック開催に向け、やがては

新たな街並みも生まれるだろう。その東京にも、多くの人々が集まる自然がある。派手さもなく強い

刺激もないが、歩くだけで非日常を味わえる。これも東京の面白さの一つである。(東京・JI)


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