コラム

2013/10/04

襄の悲願・医学部創設(茨城・HN)

襄の悲願・医学部創設


▼NHK大河ドラマ『八重の桜』のヒロイン・新島八重の夫、襄は教育家、宗教家として日本の教育

と思想に大きな影響を与えた。同志社英学校(現・同志社大学)を京都に設立するが、医学部の創設

を熱望していたことは意外と知られていない。


▼その同志社大が、「新島襄の悲願」として医学部新設方針を昨年末に発表した。医学部は1979

年の琉球大以来、30年以上にわたって国が新設を認めない異常事態が続いている。だが大震災を契機

に被災地で各大学が新設構想を公表。自民党の「東北地方に医学部の新設を推進する議員連盟」も活

動を本格化。同志社大でも医師不足に悩む被災地を支援しようと新設に向けて動き出した。


▼しかし、これに待ったをかけたのが日本医師会。同会では「医師は不足しておらず安易な新設は医

師の質を落とす」として医学部の新設に断固反対。既得権益の死守といえばそれまでだが、現実には

医師不足が深刻化している。


▼医科大学などの誘致になると、国は医学部の新設について今後の社会保障全体のあり方や、これま

での定員増の検証などを踏まえ、引き続き検討するなどと流暢なことを云っている。このように現実

は襄や八重の熱意とは逆行して鈍足の様相だ。


▼襄の旧宅は、群馬県安中市に今もひっそりとたたずんでいる。しかし、そこには明治維新の黎明期

に大学新設と布教という2大目的に奔走した彼の生き様が、所狭しと展示されている。NHK大河ド

ラマが終える年末までに、同志社大学が「襄の悲願」とうたって熱望する医学部新設が具体化し、医

師不足解消への布石となればと期待したい。(茨城・HN)


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